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加速の前傾グセが曲がれるポテンシャルを失う!【ライドナレッジ071】

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BMW

信号が変わると加速で前にかがむクセが染みついてませんか?

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発進から加速していくとき、前傾気味にすると加速Gと上半身がバランスした感じになる。これに慣れてしまうと加速で条件反射的に前かがみになってしまう

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加速Gに対抗せず、背筋から腰にかけて上半身全体で受け止め、シート座面に荷重が増えるカタチにできるコツを掴めばコーナーを加速でグイグイ曲がれる

交差点で信号が変わると、発進加速の加速Gと釣り合うように前かがみの姿勢になるライダーが多い。しかしこれが身体に染みついていると、ワインディングのコーナリングでも、後半の加速区間で反射的に前かがみになるという、大事な曲がれるポテンシャルが発揮できない状態へ陥りがちだ。
真っ直ぐ走るのには目立って影響ないが(厳密には加速中の直進安定性も左右される)、これがコーナリング中となると後輪の旋回力(タイヤのグリップ)と旋回安定性(弧を描いて曲がっていく方向性)で大きな違いが出てしまう。
前傾とまでいかなくても、両肘が曲がった姿勢では後輪を路面へ押し付けるトラクション効果を増やす効率が高まらない。コーナリング中にコーナー出口へ向かって加速をするとき、思わず前かがみになっていないか、次のツーリングでぜひチェックされるようお奨めしておく。

コーナーでは身体からチカラを抜くのと、後輪へ体重が載ってタイヤを潰すスロットル操作もお忘れなく

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これほど後輪側へ体重を集中して載せると、前輪荷重が少なくなってフロントのグリップ不足で曲がり方が弱まらないのかと心配されるかも知れない。確かにレースのようなリヤタイヤのグリップ限界で攻めるようなシーンでは、それこそ肘を擦るライディングフォームのように前側の荷重が抜けないようケアすることもあるが、一般的な走りでは前輪にそこまで旋回に対する影響力はない。
それよりも後輪の潰し方、つまりライダーの体重に加速Gで増える荷重で路面へタイヤを押し付けて得られるグリップと旋回安定性は、バンク角が浅くても強く曲がれるため、ツーリングで走るワインディングでは深くバンクせずリスクを回避できるテクニックとして有効だ。
コーナーでは身体からチカラを抜くだけでなく、加速Gで後輪へ荷重が増えるのを逃さず利用して、さらにトラクション効率を左右するスロットルの開けはじめを意識的に素早く捻ることで、アンチスクワット効果の路面へ押し付ける大事なきっかけグリップ、さらには低回転域のトルクの盛り上がりと鼓動が路面を蹴る効果が大きいのを利用するなど、タイヤの潰し方に功を奏する操作が多々あるのでぜひ意識して身につけておこう。

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後輪側の足まわりには、チェーン駆動もシャフト駆動もトルクが働くと後輪を路面へ押し付けるアライメントが設定してある

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曲がれる駆動力は最大出力を発生する高回転域でもなく、最大トルクのある中速域でもない。加速感こそ少ないがグリップ力は低回転側にある

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コーナリング中の加速でやりがちなのが、パワーのある高回転域で徐々にスロットルを開ける操作。スムーズなようで効果的なトラクションは得られない

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とくに加速をはじめるその瞬間に、低い回転の安全な領域でグイッと開けるとトラクションの効果が一瞬強まり、タイヤはグリップのきっかけを得てそこから強く安定したグリップを維持できる