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このバイクに注目
HONDA
CBR750 SuperAero
1987model

CBR750スーパーエアロは1000とエンジンから異なるナナハン独自の熟成でスポーツ性が光っていた!【このバイクに注目】

CBR1000Fの単に750cc版ではなく、カムギヤトレーンでエンジン外寸までコンパクトな専用エンジンでコーナーは俊足!

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1987年1月に発売されたホンダCBR750スーパーエアロは、前年にリリースしたCBR400RのAEROと銘打ったフルカバードボディを纏い、絶好調の主流となっていたV4系とは一線を画した、インライン4気筒が共存していくための路線と捉えられていた。
その大型クラス版としてCBR1000Fが輸出向けにリリースされ、このCBR750は排気量を国内向けに縮小したモデル……発表されたときは、そんなイメージでしかなかった。

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ところが正式にメーカーからコンセプトの説明があり、試乗をしてビックリ。少し前にCBR1000Fにも試乗していただけに、まさかの大柄な同じAEROボディの750ccが、想像もしていない1000より圧倒的にコンパクトに感じさせ俊足ぶりをみせるとは思ってもみなかった。
0→400mを10.85secでMAXが250km/h……さすがにTOPスピードは1000に敵わないが、立ち上がり加速は1000を凌ぐのだ!

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70.0mm×48.6mmの748ccは、自主規制上限の77PS/9,500rpmと7.0kgm/6,500rpmのスペック表記だが、体感的には100PSオーバー。
そもそもレッドゾーンが12,000rpmからで、ホントに自主規制を守っているのかを疑いたくなるパフォーマンス。何せ1000がDOHCをチェーン駆動しているのに対し、750は高度なカムギヤトレーンと緻密なバルブ駆動によりカムリフトも大きく、トルクもガッチリ稼いでいる。1000で装着されているバランサーも駆動しておらず、シリンダー背面のACG(発電機)のギヤでさえ専用と完全に別仕立て。
因みにエンジン全幅で20mm狭く、長さも軸間で13.5mmコンパクト。車重も23kgの違いがある。

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さらに決定的な違いは、エンジンのサイズとカタチが違うのを活かし、シリンダーの傾斜角を12°に設定、その結果ステアリングヘッドに対しエンジンの搭載位置を500mm下げ、キャスター角を28°→26°、トレール量を117mm→104mmとして前輪荷重を1000と同じ50.5パーセントとしているのだ。
これは後輪の幅は狭めてロープロワイド化、リーンする早い段階からグリップして旋回へ素早く移行するよう設定した、前輪のステア追従をコーナリング優先のアライメントへ調整した結果でもある。
その結果、大柄に感じるフルフェアリングのイメージと裏腹に、コーナーへ旋回していくターンの明確さ、S字など切り返しの軽快さと正確さが、まさにスーパースポーツの領域を強烈に訴えてくる。

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おわかりかも知れないが、V4エンジンの台頭で影が薄くなりはじめた印象のインライン4気筒(いわゆる直4)を、ツーリングスポーツなどパフォーマンスより快適さなど価値観を次元の異なる領域とすることで延命をはかる……などという消極的な対応で我慢する気など直4開発チームには毛頭なく、直4ならではの扱いやすく安心感の大きさから攻める走りに向いている、本来のメリットをこの国内向け750専用マシンで達成してみせたのだ。
同じメーカーの中でV4と直4でライバルというのも特殊な状況だが、こうした闘いはライバルメーカーだろうと社内だろうと、手綱を緩めないのがホンダ。
そんな意地と積み上げてきたノウハウの重さを感じさせたCBR750スーパーエアロ(ニックネームは車体にも貼ってあるハリケーン=大西洋の台風)だった。