創業100周年を機にモト・グッツィ独自の縦置きVツイン+シャフトドライブを全面刷新して初の水冷化
今年100周年を迎えるモト・グッツィは、9月10日に創業の地『マンデッロ・デル・ラリーオ』で大規模な再開発プロジェクトを発表した。
「2121年への道:モト・グッツィの次の100周年」と題し、2025年の完成を目指したこのプロジェクトは、歴史的なファクトリーの保存、さらには新工場やコミュニティスペースからホテルまである、誰でも利用可能なオープンスペースを備えた空間になるという。この画期的なお披露目と同時に11月23日から開催されるEICMA(ミラノショー)で正式発表するV100 マンデッロを先行公開した。
すでにティーザー動画がモト・グッツィのホームページにアップされていたのでご覧になったかも知れないが、V100 マンデッロ はすべてが新設計。ブランドのイメージでもあった歴史を感じさせるクラシカルなイメージがまったくない、新しさに溢れた新世代スポーツツーリングだ。
エンジンはこの半世紀を超えるまで頑なに守り続けてきた、縦置き90°Vツイン+シャフトドライブの基本構成は踏襲するものの、エンジン本体は空冷ではなくまったくの新設計で初の水冷。
黒くエキゾーストカバーで覆われたレイアウトで気づかされるのが、従来は進行方向の前方へ突き出していた2本のエキゾーストが、ライダーから見ると燃料タンク両側からはみ出して見えるシリンダーヘッドから左右の真横に出るレイアウトになったこと。
つまり、これまで吸気系のキャブレターやインジェクションのユニットが、シリンダー後方でライダーの膝に干渉しがちだったのが、90°のVバンクの谷間、車体の中央に収まるというわけだ。
このためライダーにとって膝の位置が制限されないスリムなライディングポジションとなっているだけでなく、前方にマウントしたラジエーターもエキゾーストとの干渉を気にせず大きな面積が可能になり、前輪荷重を稼ぎやすいエンジンのクランク位置が前進したレイアウトとなっている。
車体の強度メンバーでもあるコンパクトなエンジン本体は、片持ちのスイングアームはピボットをエンジンで支持するため、フレームはクランクケースから上だけで、ダウンチューブもないシンプルな構成。
サスペンションは発表された画像をみるとグレードの違いがあって、アッパーグレードではオーリンズ製のセミアクティブを奢るので、高いスポーツ性を予感させている。
EICMAでの発表まで詳細なスペックは未公表だが、V100のネーミングから排気量は1,000ccクラスが想像できるのと、タイヤはピレリの最新ディアブロ ロッソⅣ を装着していることから、コーナリングのポテンシャルはかなり高そうだ。
Vツインの黒い遮熱カバーに覆われたエキゾーストは、これまでの前方にではなく左右の真横に出ている。このおかげで、ラジエーターが幅広くエンジン前面のそれも至近に配置することができているのと、エンジンが前輪にかなり近い位置まで前進できたので、コーナリングに優位な前輪荷重も稼ぐことができている。さらにこの吸気から排気の流れが90°変わったことで、以前はシリンダー後方にあったキャブレターやインジェクションの吸気系マニホールドなどが姿を消しているので、膝まわりがスッキリしてライディングポジションもスリムな感じに変わっている
縦置きVツインが長距離ツーリングを快適に
そもそも縦置きという、飛行機の単発プロペラ機のように進行方向と同軸にエンジンが回転するため、一般的な横置きエンジンのバイクと違って停車寸前まで安心感が高かったり、高速道路で速度が高まるほどに真っ直ぐ走っていく安定性の強さに特徴があった。
このため長距離ツーリングの多い最大市場でもあるアメリカのライダーに好まれ、日本では想像もつかないほど、モト・グッツィの人気は高い。
そうした他の機種とは異次元な感性のモト・グッツィ。次世代の水冷マシンがどのようなポテンシャルなのか、個性の強いバイクを好まれるライダーには気になって仕方がない新機種のひとつだろう。我々も11月23日の正式発表、そして実際に試乗できる日が待ち遠しくてならない。
モト・グッツィ V100 マンデッロ | プレビュー
また9月10日に発表になった、イタリアのコモ湖畔に一世紀にわたりすべてのモト・グッツィを生産してきた歴史的なファクトリーの大規模な保存および再構築プロジェクトは以下のWEBサイトでご覧になれます。
2121年への道:モト・グッツィの次の100周年|モト・グッツィ新工場紹介動画 レンダリング編
2121年への道:モト・グッツィの次の100周年|モト・グッツィ 新工場紹介動画 建築モデル編
発表された画像では、オーリンズ製のセミアクティブサスペンションを装着した上級タイプとスタンダードなタイプとの2種類が見られた。ティーザー動画からスクリーンシールドが上下に可変であることがわかる。他にもこの画像から推察できる部分もあるが、11月23日のEICMA(ミラノショー)での正式発表を楽しみに待ちたい