全負荷(全開)連続2万km耐久テストで最後発のクオリティに疑念を持たれないよう最大限を費やす!

スズキは1975年まで生産車すべてが2ストロークエンジンで4ストバイクは皆無。
人気モデルだったGT380やGT750の3気筒マルチシリンダーも2ストだった。
そして1976年、遂にDOHCツインのGS400で先行していたカワサキとホンダそれにヤマハとも肩を並べることができたのだ。

しかし主要マーケットのアメリカで排気ガス規制が厳しくなるまで、スズキは4スト化を急いでなかった関係で、このGS400とGS750(4気筒)の開発スタートは1974年。
状況の急変に開発陣は突貫で設計・テストを重ね1976年の冬に何とかGS400をリリース。
しかし全てが初めての経験で、トラブル続きの苦戦を強いられていたが「全負荷連続2万km耐久テスト」をクリアする至上命令のもと、日本メーカーで最後発に対する疑心暗鬼を吹き飛ばすクオリティを目指した。
これは全開運転のまま連続で2万kmを運転し続ける苛酷なテスト。実際トラブルも生じたが、次々に上回るクオリティとして絶対の信頼を得ることに成功している。
GS750でPOPヨシムラが、テストとエンジン内部を確認して「これなら先行マシンにも勝てる!」と太鼓判を押したほどだ。


GS400はそれまで400ccクラスにDOHCがなかったこと、さらには180°クランクと欧米のライダーには活気を感じるエンジンとして好評だったのと、ドイツなどで27PSに出力を抑えると保険や免許制で優遇されたブームも手伝い、スタートから大成功を収めた。
その180°クランクは、ピストンの往復では高回転化に優位だが、400ccともなると不等間隔爆発の振動を抑えるバランサーが必要と、GS400ではクランク前方に1軸バランサーを駆動、開発スタート時点ではチェーン駆動だったのが180°位相のギクシャクが悪影響を及ぼすためギヤ駆動でダンパースプリング内蔵と、念には念を入れる考え方で慎重かつ大胆に開発が進められていた。



ボア65mm×ストローク60mmの並列ツインは、398ccで36ps/8.500rpm、3.2kgm/7.000rpm。後に吸排気系や点火系にキャブレターの改良で37ps→39psへとパワーアップされている。
ただ開発中に様々な「音」に悩まされ、初めてのコトだけに五里霧中で対策を続け見事に2万kmもクリアした静かなエンジンに仕上がったという。


フレームはハンドリングで世界から定評のあったGT380やGT750の経験をステアリングヘッド部分などに活かし、ダブルクレードルで軽快かつ安定してニュートラルなハンドリングと、最初から高評価で人気を支えることができた。
さらにスズキはそれまでスポークホイール仕様しかなかった状況に、1977年から率先してキャストホイール化に着手、GS400も末尾にEを車名に加えこの装備の違いも好調だった要因のひとつ。
この順風満帆な4スト化でつまづくことなくスタートしたGSプロジェクトは、その手を緩めず4バルフ化のGSXシリーズへと展開されていくのだった、