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同じカタチで排気量は2種類。しかも398ccと408ccという絶妙な差
フルモデルチェンジの際に排気量が拡大されることは少なくない。しかし同時期に、基本的に同じモデルで2種類の排気量を並行して販売することはまず無い……はずだが、CB400FOURは、そんなレアケースの筆頭。じつは408ccモデルと398ccモデルが併売されていたのだ。
1974年12月に登場した最初のCB400FOURは排気量が408cc。現代の基準で考えると、普通自動二輪免許では乗れないから、なんとも中途半端だ。しかし当時(1972年~)の二輪免許は、排気量が無制限の「自動二輪」と、125ccまでの「小型自動二輪」、および50ccまでの「原付」の3種類しかなかった。
端的にいえば自動二輪免許を持っていればどんなバイクでも乗れたから、バイクメーカーとしてもサイズやパワーなどの使い勝手を優先してバイクを作ることができたワケだ。おそらくCB400FOURの408ccも、ベースとなったCB350FOURから効率よくモデルチェンジするのに適した排気量だったのだろう。
ところが1975年の法改正で、無制限の「自動二輪」に加え、400cc未満までの「中型限定自動二輪」と、125cc未満までの「小型限定自動二輪」、および50ccまでの「原付」に変更された。そして「自動二輪」は教習所で取得できなくなり、試験場での“一発試験”でしか取れなくなった。
これは多発した大排気量バイクによる事故を抑制するため設けた改正だったので、当時の「自動二輪」の合格率は約1%と非常に低かった。
そこで普通に取得できるバイク免許は400ccまでの「中型限定自動二輪」が実質的となり、この免許では408ccのCB400FOURに乗ることができなくなった。そこでホンダは「中型限定自動二輪」で乗れる398ccの日本国内専売モデルを1976年3月に発売し、408ccと併売したのだ。
1974年 CB400FOUR
408ccの初代ヨンフォア。カラーはレッドとブルーの2色でサイドカバーもタンクと同色。1976年からはブルーが廃止されレッドのみになった
398ccモデルはドコが変わった?
エンジンは408ccのボア×ストローク51×50mmから、51×48.8mmにストロークを短縮して398ccに排気量を縮小。これによりスペックも最高出力37ps→36ps、最大トルク3.2kg-m→3.1kg-mへとわずかに低下した。
他の408cc版の変更点は、サイドカバーがタンク同色からブラックに変わり、タンデムステップがスイングアーム装着からフレームマウントに。あとルックス的な変化はホーンの取り付け方向くらい(408ccは右向き、398ccは正面向き)。他にもフレームのサイドスタンドの取り付け部の補強など若干の変更があった。
そして398cc版は車名がCB400FOUR-ⅠとCB400FOUR-Ⅱとなったが、これはハンドル形状の違いのみで。Ⅰは408cc版と同じフラットなコンチハンドルで、Ⅱはアップハンドルを装備する。車体カラーはレッドとイエローの2色をラインナップ。ちなみにこのタイミングで、408ccはブルーが廃止されてレッドのみとなった。
こうして1976年3月から408ccと398ccのⅠとⅡの3機種の販売を開始した。……が、なんとヨンフォアはこの年限りで生産を終了。実質的に408ccは約2年、398ccは1年しか販売されず、1977年からは2気筒のホークⅡ(CB400T)に切り替わった。これは4気筒モデルは製造コストがかさむ(販売価格も同クラスの2気筒モデルを大きく上回った)のが主たる要因だった。
1976年 CB400FOUR-Ⅰ
1976年 CB400FOUR-Ⅱ
中型限定自動二輪免許(現在は普通自動二輪)で乗れる398ccモデルは、フラットなコンチハンドルのⅠと、上体が起きるアップハンドルのⅡの2機種をラインナップ。カラーはレッドとイエローの2色で、サイドカバーがブラックになった。
輸出モデルも人気アリ!
CB400FOURは輸出モデルも存在するが、日本とは免許制度が異なるため輸出されたのは408ccのみ。ただし1976年以降は、ブラックのサイドカバーやフレームマウントのタンデムステップ、補強されたサイドスタンド取り付け部など、国内向け398cc版と同様の変更を受けたモデルもあった(仕向け地等で微妙に異なる)。また一部の地域では1977年にタンクにグラフィックが入った最終モデル(なぜかステップはリンクを廃して前進。コストダウンのためか?)が販売された。
現在のヨンフォアの中古車市場では輸出仕様のタマ数も多い。多湿な日本の国内モデルより、輸出モデルの方がサビが少ないため好まれる……という一面もある。
400cc/4気筒の復活
同等以上の性能を持つ4ストロークの2気筒モデルや、安価で速い2ストローク車も数多く存在したため、姿を消したヨンフォア。この時点で中型限定自動二輪免許で乗れる4気筒モデルは無くなってしまった。
とはいえ当時は厳しくなった免許制度の影響で、実質的に400ccがトップクラスになったため、400ccの4気筒を望む声も少なくなかった。加えて日本国内は、1970年代後半から空前のバイクブーム。
そこで1979年4月に登場したのがカワサキのZ400FX。ヨンフォアが消えてから2年余り、久々の400cc/4気筒は当然のごとく大ヒットし、“フェックス”の愛称で親しまれた。その勢いに続くかのように、ヤマハが1980年6月にXJ400を、そしてスズキが1981年4月にGSX400Fを発売し、続々と400cc4気筒が出揃った。
そして採算性で2気筒のホークシリーズにシフトしていたホンダは、1981年10月に満を持してCBX400Fで4気筒に復活。当時クラストップの48psを誇り、プロリンクサスペンションやインボードディスク、セパレートハンドルやアルミスイングアームなど最新技術を投入したCBX400Fの高性能ぶりはライバルを圧倒。このバイクを起点に市販車をベースとするレースも盛り上がり、この後の“レプリカブーム”へと繋がっていった。
そして現在、これらの400cc/4気筒モデルはCBX400Fを筆頭に中古車市場で圧倒的な人気を誇り、CB400FOURと同等またはそれ以上のプライスで流通されている。
興味のある方はその価格をWEBで検索してみていただきたい。
Vol.3へ続く
1979年 カワサキ Z400FX
ヨンフォアが姿を消して以来、中型免許で乗れる4気筒として大人気を博した。輸出モデルのZ500のボア×ストロークを縮小して、日本の免許制度に合わせた399ccとした。DOHC2バルブで最高出力43ps、最大トルク3.5kg-mでヨンフォアを大きく上回る
1981年 CBX400F
Z400FXで始まった“4気筒ブーム”で最後発だけに、48psの当時最強スペックを誇る。エンジンはDOHC4バルブで、コンパクトさを追求して逆回転クランクを採用。プロリンクのリヤのモノサスペンションやインボードディスクなど足周りやブレーキシステムも最新技術を投入。現在の中古車市場では、ヨンフォアやZ400FX以降の400cc4気筒の中で最高値が付けられる超人気モデル
Vol.1.5 納車が待てない!買いモノが止まらない|【Honda CB400Four】ヨンフォア、フルレストアしてみた!
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