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回転計のレッドゾーンが赤い意味って知ってます?【ライドナレッジ119】

Photos:
藤原 らんか,DUCATI,shutterstock(Fabien Montell)

高回転のバルブ往復にスプリングが追従できないと
バルブがピストンに衝突してエンジンを壊すので、
赤いゾーンまで回すのは絶対に厳禁!

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回転計(タコメーター)の高回転域に表示されるレッドゾーン、赤くなっているのでエンジンにとって不都合な領域であるのは想像できる。
どんなトラブルが起きるのかというと、高回転域でバルブが開いて燃焼室へ突き出すタイミングがズレて、ピストンと衝突してバラバラに割れてしまうことがあるからだ。

4ストロークエンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気の行程をクランクシャフト2回転で行っている。
その度に吸気でカムシャフトが吸気バルブを押して燃焼室へ突き出ることで開き、排気でも同様に排気側のカムが排気バルブを押す。
このバルブが燃焼室へ突き出すタイミングは、上下動するピストンと衝突しないよう仕組まれているのはもちろんだ。

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しかしバルブは燃焼室の気密を保つため、スプリングで引き上げていて、この往復運動が高回転で矢継ぎ早になってくると、スプリングが勝手に反復するなど追従できず、ピストンの上死点でまだバルブが開いたままの状態を生じ衝突してしまうリスクがある。

エンジンは燃焼回数が増えれば、つまり1分あたり5,000回転(2,500回燃焼)より倍のり10,000回転(5,000回燃焼)すれば倍近いパワーが得られる。
しかし、機械的にそれにも限度があるということで、このレッドゾーン手前に最大出力が得られるよう設定してある。

トラブルが起きないよう高回転の限界を超えようとすると、
点火をカットしてエンジンを保護する機能が働く

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もちろんフェイルセイフ機能があり、ライダーが回転計(タコメーター)の確認をせず、バルブが躍ってしまうバルブ・サージングを起こすまで回してしまわないよう、レッドゾーンに入るところで回転数を検知し、燃焼時にスパークプラグで着火するのを間引いて、それ以上回転が上がらない点火カット機能をどのバイクも備えている。

ただ加速時はこれで防げるが、4速から3→2→ローギヤと減速を待たず一気にシフトダウンした場合は、レッドゾーンの回転域まで回してしまうことも考えられる。
とはいえ、レッドゾーンを越えて回せないなら、回転計を睨んでいる意味はあまりなさそうだ。

エンジンは回転域でパワーとレスポンスが違うので、
タコメーターで確認すればリスクなく安心して操れる

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エンジンは回せば回すほど最高出力が得やすいし、スロットルの開け閉めに対してのレスポンスも鋭くなる。
反面、回転数が低い領域では吸気速度が遅くなるため、このスロットル・レスポンスも鈍いというか穏やかになる。

これは最高速度や加速力を左右するパワーだけでなく、坂道で粘ったり路面を蹴るトラクションを左右するトルク特性でも同様だ。
エンジンにはご覧のグラフにあるような、出力やレスポンスが回転域によって変わってくるのと、何より見えているパワーやトルクのカーブも、スロットル全閉から開けていったときに、このカーブが示す数値に達するまで、回転が低いと必ず時間がかかる宿命にある。

この回転域によるポテンシャルの違いを回転計(タコメーター)で確認していれば、リスクのない安心できるスロットル操作ができるというわけだ。
前方確認が何より大事だが、走りながらエンジンの回転域がいまどこにあるのか、排気音と共に確かめながら操れるようになれば、安心してトラクションなどの醍醐味を楽しむことができる。